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2024/08/14 柿食う客『愉快犯』

柿食う客の公演を観るのは『肉食獣(生肉バージョン)』に続いて2回目。劇団員が27人いるので直前にも同じシアター711で新人単独公演の『どんぞこ』を公演していました。連続で異なるお芝居を公演するのは凄いな、作家・演出家の中屋敷法仁さんはどんなにパワフルな方なんだろうと想像します。

 

チラシのキャッチコピーというか謳い文句を以下に貼り付けます。
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絶望を愉しめ! 不幸を笑え! ウチの家族は最狂だ!!
源平争乱の時代より福徳円満な歴史を歩む 琴吹コトブキ一族!
幸せボケしたファミリーの元に哀しみの嵐が襲いかかる!
娘の死!? 祖母の病!? そしてまさかの母の不倫!?
なんとかしやがれ三世帯! ご先祖様も草葉の陰で泣いてるぞ!!
ドメスティックなハピネス求める愉快×痛快×おめでた喜悲劇!!
13年ぶり悪夢の再演は怪優5名によるノーガードの殴り合い!!
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今回は再演ということで初演(2011年)のキャッチコピーがこちらです。
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源平争乱の時代より、ハッピー&ラッキーな歴史を歩んできたノリノリ一族「琴吹(ことぶき)家」!
幸せボケしちゃってる彼らのもとに、どーゆーわけか突如「最悪の不幸」が襲いかかり始める!!
愛娘の事故〇!祖母の病!母の不〇!!―え?ってか、娘は事故じゃなくて他〇なの!?
どうするどうなる琴吹家!なんとかしやがれ三世帯!ご先祖様も草葉の陰でテンパってるよ!!
結成5周年を迎えた「柿喰う客」が、謹んで新年のお慶びを申し上げながらお送りするのはドメスティックなハピネスを求める愉快×痛快×おめでた喜悲劇!!
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ところどころ伏字なのはGoogle 先生対策です(笑)

 

源平争乱の時代とか古い時代の名前が出てくるので肉食獣のときと同じく台詞が旧仮名遣いというか歴史的仮名遣いで詰まっているのかなと前回良くわからなかったからということで同じような時代背景と思われ長女にはスルーされてしまい、急遽柏もちさんにピンチヒッターとなっていただきました。平日の夜の回であればシフトを調節して行けるかもということで、平日ならチケットも楽に取れるでしょうと余裕をかまして劇団先行抽選に申し込みましたが結果はなんと外れ。いやぁ、人気のある劇団なのですねぇ。いきなり出ばなをくじかれてしまいました。

一般販売開始の日の朝にコンビニの機械の前で待機して時間となるなり同時に操作してチケットを確認すると「残り枚数あと少し」という表示でしたので焦りましたがなんとかチケットを確保することができました。席の番号はG列、G列はAから数えると前から7番目の席です。

観劇の日当日は休みをとって午前中は注文していた新しいテーブルの組み立てとパソコン周りの整理から開始です。リモートワークの率が高くなってきてパソコン周りの環境を整えないと家で仕事がやり辛かったのでいままで使っていたパソコンデスクから横幅の長いテーブルに替えました。大方やり終えてお昼を食べ終わり、公演開始時間まで余裕があるのでスイーツパラダイスと【推しの子】のコラボに行ってみようと原宿店の予約状況を確認してみたらすべての時間帯で予約が埋まっていてびっくり。コラボがスタートした時点では平日はアイドルタイムはまだ予約がぼちぼち空いていたのでまだ行けるだろうと高を括っていました。苺プロダクション☆ファン感謝祭2023でも推しの湯でも同じようなことがあって三度目なのにまったく学習ができていません(笑)

ま、予約が取れないくらい盛況であれば自分があえて行かなくても良いかなと思ってしまうのですよねぇ。コラボメニューを頼む前提条件が少々お高めだし食べ放題の時間も思っていたより短くてばたばたしそうだしグッズも既にたくさんあるので必ずゲットしたいというほどでもないしと自分を納得させます。ボードゲームのオープン会などもそうですが、いつも満員御礼なところへあえて自分が参加しなくても良いかなという気持ちになります。既に常連さんやファンがたくさんいて満席ならばそこに割ってまで入っていくということはやらなくて良いかなと思いがちです。

ならばご無沙汰しているブログでも書こうかなと思いつつ、YouTobeを開いてしまったのが運の尽き(?)、結局家を出る時間まで動画を観て過ごしてしまいました。

下北沢に少し早めに到着して周辺をぶらつきます。暑いのでそんなに歩けずまいばすけっとでコーヒーを買ってのどを潤しました。

シアター711は初めての箱です。スズナリの隣にあっておそらくスズナリより少し小さめなのかな、アルファベットの他にも列の記号があるのか、舞台とどのくらいの距離感か分からなかったのですが客席は1列10人ととてもこじんまりした空間で自分好みの大きさです。小劇場のあの空気感が心地よいのですよねぇ。

舞台は母:琴吹千幸(加藤ひろたかさん)が客席の入口から入ってきて外を徘徊しているところから始まります。時期はクリスマス直前の12月。琴吹家の屋敷の中とその周辺でほぼ話が進行していきます。舞台はスズナリのそれよりも一回りか二回りくらい小さくて舞台の装飾は後にある紅白の横断幕以外は無し、俳優の衣装と照明と音のみで物語を紡いでいきます。男性がお母さんの役を演じていますが衣装と演じ方があいまって妖艶な気配が漂ってきてとても雰囲気があります。

長男:琴吹亀太郎(北村まりこさん)は大学受験の真っただ中、ですが琴吹家は古来から続く由緒あるとてもお金持ちな一族なのでお金が腐るほどあり、実際腐ってるという台詞がある祖母:琴吹フク(福井夏さん)から息を吸って吐くように当然とばかり裏〇入学するんでしょう?と亀太郎に言います。

経済的に何不自由なく過ごしている琴吹家一族には唯一の弱点があり、生まれた時から家庭円満で幸せな日々を送り続けていることから精神的ダメージにめっちゃ弱く、ちょっとしたショックを受けるだけでそのダメージで〇んでしまうというはちゃめちゃな設定があります。亀太郎は頭の中が天国な一族のままではいかん!と一念奮起して精神的に強くなろう、一人前になろうと通常通り受験しようと勉強に励もうとするのですがことごとく家族に邪魔されます。

クリスマスの準備が終わったんだか千幸さんが忘れて準備が遅れていたんだか物語の進行を忘れてしまいましたがとりあえずクリスマスを祝おうと父:琴吹慶二郎(牧田哲也さん)が長女の鶴子を部屋まで迎えに行くと事件が発覚します。なんと部屋で鶴子がお亡くなりになっていたのです。ちょっとした精神的ショックでお亡くなりになってしう琴吹家一族なので自分の娘が目の前でお亡くなりになったらお父さんも必至です。すかさずフクさんが慶二郎の首元に手刀を入れてだか、亀次郎がスタンガンを持ってビリビリさせ気絶させて精神的にダメージが行かないように割って入ります。琴吹家一族は精神的ダメージにはこと弱いのですが肉体的にはとても強いのです。とても荒唐無稽な設定で最初聞いたときにはその突拍子のなさに少し引いてしまいましたが役者の演技力に引き込まれて次第に納得してしまいました(笑)

 

あらすじを書くときりがないのでこの辺で止めておきますね。最後のブログのリンク先に丁寧なあらすじを書いている方がいらっしゃいますのでそちらを参照してみてください。長男役の北村まりこさんは、あの弁護士「北村晴男さん」のお子さんと舞台を観終わってから知ってびっくり。どうりで2列前の席でめっちゃ北村さんの演技にはまって爆笑している方がいたなぁ、と納得しました。おそらくグラビアやテレビ出演時のイメージと比べてかけ離れている様子がドツボにはまっていたのだと想像します。かなり序盤から最後の方まで爆笑し続けていました。ただ、狭い箱なので役者さんの台詞よりも常に大きいトーンで爆笑していたのはちょっと残念でした。

北村さんの演技はほんとに凄く、台詞をしゃべらず自分にスポットライトが当たっていない間でも顔の表情筋をフルに使って舞台上にいるときには常に全力で顔の表情を作っていました。本当に凄かったです。

 

お芝居全体としては「肉食獣」のときに感じた「舞台上の役者が常にすごい勢いで台詞をしゃべり続ける」様子は変わらず、今回の言葉は現代語でしたが台詞を拾い続けることに専念しないと物語についていけない緊張感は同様でした。もちろん物語的に緩急つけるところはきっちりあるし、初演(2011年)と台本は同じだろうと思う、当時流行っていたJ-POPやネットミームをここぞという場面にちりばめていたところも印象に残っています。あとなんだっけ、妻の千幸が街を徘徊する所為とともに発する言葉が柏もちさんにささったようです。

最初上演時間80分は短めだなぁ、と思っていましたが終演までまったくそんなことは思わず、体感120分くらいの充実さでした。ラストの落ちはそうくるかー、という感じですっかり騙されてしまいました(笑)

 

アフタートークは作・演出も手掛ける中屋敷法仁さんと北村まりこさんのお二人。中屋敷法仁さんは初めてみましたが喋り方や佇まいが飄々と感じました。中屋敷法仁さんが「これ話すとこの場にいる半分以上から嫌われそうですが」という前置きがありつつも一度話してみたかったという「お金持ち」についてという話題で進み、そういえば柿食う客の団員は皆家族が円満ですよね、とか大学生の頃一度もバイトをするという選択肢自体浮かんでこなかったという北村さんの発言とか、家庭が裕福なのはとてもうらやましいなぁ、と思うのでした。芝居をやる人間は貧困でなければいけないという芝居仲間の圧力(?)の中で生まれた「愉快犯」は中屋敷法仁さんがそろそろ家族ものの物語を書いてみてはと言われ、家族もののプロットでよくありそうな「仲が良い家族が実は裏で憎しみあっていた」というような設定ではなく中屋敷法仁さんならではのとても奇抜で面白いお話になっていると思いました。それを演じる役者さんも凄いとしか言えないくらい凄いのですが語彙力なくてすみません。ほんとに皆素晴らしかったです。

観劇後の感想はいつもすぐに言葉には出せず、駅までの道すがらまったく今回のお芝居とは関係ない「肉食獣」の台本の書き方がどうだったかということを肉食獣のパンフレットに書いてあった内容を思い出しながら単にしゃべっていただけでした。柏もちさん、ありがとうございました!

時間が時間なので下北沢で晩御飯を食べてから帰ろうと思い周辺をうろつくも前回下北沢で食べたカレー屋も駅前の回転すしも既に営業時間外でしたし飲み屋に一人で入るのもなぁ、とうじうじしていたら【推しの子】のリアタイに間に合わないくらいの時間になってしまい、やはり一人の食事はなるべくお金がかからないようにするのが一番と駅前のスーパーで割引シールの貼ってあるパンを買って駅前のベンチで食べました。22時を過ぎても道行く人は多く、若い方たちが階段周辺に集まってだべっていたりする様子も散見されました。

その日の夜は久しぶりにお芝居を観て役者さんのパワーに圧倒されたのか、【推しの子】のアニメの凄さとも相まってなのかわかりませんがまったく寝付くことができませんでした。睡眠アプリのグラフを見るとほとんど覚醒してて1回だけ明け方5時くらいに深い睡眠があったくらいでした。興奮して眠れないことなんて前回はいつあったっけ?と思うくらい振りでこれまたびっくりしました(笑)

以下に今回のパンフレットの中屋敷法仁さんのごあいさつを引用します。

 

以下初演のときを含め感想ブログいろいろです。

ツイラン「柿食う客
舞台・演劇・小劇場のレビュー ブログ:「愉快犯」柿喰う客(@東京芸術劇場小ホール)
ワンダーランド wonderland:初日レビュー第9回 柿喰う客「愉快犯」
クラゲのお散歩日和:柿喰う客「愉快犯」観劇
柿食う客:愉快犯
演劇◎定点カメラ:柿喰う客 2011年新春公演「愉快犯」
演劇予報:結成5周年!柿喰う客『愉快犯』

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