
今年は劇団「柿食う客」の旗揚げ20周年ということで、1年を通してなんと4公演も予定されています。今日はその第一弾となる新人卒業公演『青春部隊』を長女と観に行ってきました。
・新人卒業公演とは何か
ところで「卒業公演」と聞いて最初に思ったのが、「役者の卒業ってなんだ?」ということ。アイドルグループなどで使われる「卒業」という言葉には、メンバーがグループを離れるときの婉曲表現という印象が強いです。しかし今回の「卒業」はそういう意味ではなく、新人枠を卒業し、一人前の劇団員になるという意味合いだそうです。噺家さんでいうところの二つ目から真打になるようなもの……でしょうか。いや、私もよく分かっていません(笑)。
・柿食う客との出会い
柿食う客を知ったきっかけは、城山羊の会「埋める女」に客演していた福井夏さんでした。
本公演は『肉食獣』『愉快犯』『超音波』、先日ブログにも書いた『サバンナの掟』、そしてまだ記事を書いていない『真ッ逆様』しか観ていないので、私はまだまだ新規ファンです。
また、中屋敷法仁さんの作品という括りで言えば、2024年の演劇【推しの子】2.5次元舞台編、そして赤坂芸術祭2025『血は立ったまま眠っている』も観ています。今年の赤坂芸術祭は見送ってしまったのですが、公演後にSNSで絶賛の感想を見かけるたびに「やっぱり観に行けばよかった!」という気持ちになります。
・劇場到着から開演前まで
さて、今回の会場は下北沢の小劇場B1。

かなり早く到着したので、お客さんが集まる前の劇場入口をぱしゃり。お目当ての役者さんへ贈られたフラワースタンドも並んでいました。


卒業公演ということで、寄せ書きボードまで用意されていました。卒業といえばやっぱりこれですよね。

・座席の偶然による幸運
当日の客席は満員。どうやら私の席が手違いでダブルブッキングだったのか、あるいは座席数の計算違いだったのか、いったん待機となりました。最終的には備え付けの席がすべて埋まり、当日券用と思われる通路側の特別席で観劇することに。
結果的にはこれが大当たりでした。
席は最前列から数えて2列目。小劇場B1の舞台はほぼ正方形で、二方向から客席が取り囲むような作りになっています。私の席はちょうどその角にあたり、舞台を斜めから眺める位置。役者さんたちは両側の客席を意識して中間方向を向いて演技していたため、私から見ると終始ほぼ正面を向いて演じているように見えました。
思わぬラッキー席です。
・ネタバレを避けて観劇するスタイル
お芝居に限らず、エンターテインメントを最大限楽しむためには、できるだけ予備知識を入れずに作品へ触れたいと思っています。そのため公式サイトの情報もあまり見ないまま観劇することがほとんどです。
特に小劇場の新作は、SNSなどでも事前情報がそれほど出回りません。だからこそ、何も知らない状態で客席に座り、作品世界へ飛び込める。この体験が私はとても好きです。
・『青春部隊』の導入部分の感想
さて、肝心のお芝居ですが、内容は架空の演劇コンクールに出場する7人の高校生たちを描いた群像劇でした。
トップバッターは『異世界に行ったらHP1で防御力ゼロだし回避率ゼロなのに攻撃魔法だけカンストなんだが』という長いタイトルの一人芝居。
異世界転生もののお約束がぎっしり詰め込まれていてとても分かりやすく、客席の心をつかむには十分すぎる導入でした。後で長女に感想を聞いたところ、「最初の話が一番分かりやすくて面白かった」と言っていました。
作中では演劇コンクールという設定になっており、一つの演目が終わるたびにストップウォッチで上演時間が読み上げられます。規定時間を超えると失格です。正直なところ、観劇中の私は「お笑いの賞レースじゃあるまいし、数分くらいオーバーしたっていいじゃないか」と思っていました。
ところが、この時間制限が後々になって大きな意味を持ってくるのです。
その後、出演者全員による口上が始まります。
柿食う客らしい超高速の台詞回しで、演劇コンクールの背景や登場人物たちの立場が次々と説明されていきます。テレビドラマでいうところのタイトルバックやオープニング映像のような場面でしょうか。思わず身体を乗り出してしまいそうになるくらいテンションがぐぐっと上がります。
この後も次々と劇中劇が披露されます。

この演目すべて一人芝居です。柿食う客の本公演では一人芝居で1時間以上やる演目もあるみたいなので7人で60分ほどの尺を回すのは新人という位置づけなのでしょう。凄すぎます。どの演目も個性があり、そして何より出演者たちの熱量が凄まじい。これでまだ「新人」枠だというのだから、あらためて柿食う客という劇団の層の厚さに驚かされました。
なお、今回の公演について感想を書かれている方をなかなか見つけられなかったのですが、一つだけものすごい熱量で考察を書かれている note を見つけました。
私自身、読んでいて気づきがたくさんありました。最後の伏線回収オチは note を読んで改めてびっくりしました。中屋敷さんの脚本に何度も脱帽です。興味のある方はぜひ読んでみてください。
さちさんの note 青春部隊(柿食う客 新人卒業公演)


・推し括結果
