女のみち2020
〜アンダーコロナの女たち〜
今年は「イキウメ」の新作公演がコロナで流れてしまってエンタメ全体の発表の場がオンラインに移っていき、というかそうせざるをえないからそうなっただけでボドゲも然りなんだけどやっぱり「その場にいる」という感覚は代えがたく、配信のみでやるよー、と言ってもあまり興味が湧かず、根本宗子さんの「超マリア」をチケットを買って配信で観たけどやっぱり劇場で観たいという気持ちが確固たるものになっただけでブス会のこのお芝居も最初は配信のみだったのできなこさんから案内をもらったときスルーしていました。
今回は単独公演ではなく「asatte FORCE」という一連のイベントの一部としてプログラムに組み込まれていて、そんなイベントがあるなんて全く知らなかったのですがやはり時期柄チケットの売れ行きが芳しくなかったのでしょう、9月も終わろうとしている頃に10月1日と2日に3公演だけ本多劇場でやるというDMがいきなり届いてびっくりしました。きなこさんをお誘いしましたが同じお芝居を既に配信で観ているというので今回はパスとのことでした。
本多劇場で3,500円で観られるなんて破格とチケットを申し込んで珍しく一人で観劇。下北沢の駅周辺はいつもならがたくさんの人で駅前のちょっとしたスペースでは何かのイベントをやっていました。入口で体温チェックと健康診断のチェック?を済ませ席に向かうとぎりぎりでチケット申し込んだ割には中央中段の通路に近い席で自分好みのとても良い席でした。客席は1つおきに座るのを潰して荷物置き場にして使うようになっていました。客層は30代以上ばかりだったかな、さすがに20代はブス会自体知らないか。カップルというか夫婦というかそんな感じのお客さんも多かった。
お芝居の方は7月のときの使いまわしではなくわざわざ撮り直したという冒頭のサービスシーンの映像から。その撮影が終わった後という流れで広い舞台をソーシャルディスタンスとばかりに控室の様子を距離感たっぷりで再現しています。「ポツドール」「ブス会」「城山羊の会」と「イキウメ」、お芝居を観に行くときの期待って明日を生きるための勇気だとか元気だとか勧善懲悪なわかりやすい王道な物語をもう求めてなくて非日常でマイノリティな可笑しさを求めて行くのだけど、東日本大震災のときも思ったのだけど作り話の世界が現実の世界に完全に飲み込まれてしまってもう何を表現しても現実に勝てないんじゃないかという不安が付きまとい純粋にお芝居を楽しめる自分がいないというかお芝居を観ている自分と一歩引いた位置にいる自分を同時に思っているというかなんかそんな感じになってしまって、今回のお芝居もテーマがずばりコロナ渦の中でのお話なので物語の世界にどっぷり浸かるというよりは今置かれている現実の続きみたいな感じで純粋に楽しめなかったというか、いやもちろん楽しめたのだけどなんかこう頭の右側だけ別の回路が動いていて気持ちが分裂しているというか、んー、うまく言葉にできないや。
webで検索してもお芝居の感想を書いているブログもなかなか見当たらなかったので配信のときのまねきねこさんのブログをリンク。あらすじなどはこちらからどうぞ。ストーリーは7月の頃からアップデートするかしないかで悩んだ結果、アップデートしなかったとのこと。7月の空気感というか今この日記を書いている12月は7月の空気感に近いものになっているかもしれない。
なんかいつも通り全然感想になっていないですが、役者さんはいつもながら素晴らしかったしほんと劇場で観られるだけでありがたいというか良かったです。ああ、語彙力。。
アフタートークにペヤンヌさんも出てきたけどあまり喋らず、まあ作家さんは話すことより台本を書くことがメインですからそれぞれの役者さんの台詞で既にメッセージはひしひしと伝わっております。前回の「エーデルワイス」で主演だった鈴木砂羽さんもアフタートークのみゲストに出演して、周りの役者さんとの格の差みたいなものを見たような気がしました(笑)
ブス会*(https://busukai.com/)